ダイレクトマーケティングは、ユーザー個人に直接商品を宣伝して購買意欲を高めさせる、企業のマーケティング事業において主流となっている手法の1つです。
これまで無作為に出していたCMや看板広告などとは違い、その商品を求めているであろうユーザーをピンポイントに狙い、より確実に顧客を獲得します。
今回はそんなダイレクトマーケティングについて、手法やメリット、事例などを交えながら詳しく解説していくので、ダイレクトマーケティングについて知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
ダイレクトマーケティングとは
ダイレクトマーケティングのダイレクトとは、直訳すると「真っすぐ」という意味の英語で、日常的な用語としては「直接的」という意味で使われます。つまり、直接的に商品を売り込む活動をダイレクトマーケティングと呼ぶのです。
これまでは、テレビCMや看板広告などを用いて不特定多数のユーザーに呼びかけて、その中の顧客となりうる人に見つけてもらう「マスマーケティング」という手法が一般的でした。
しかし、デジタル化が進んで個人の通信販売が当たり前になった今、その人がどんなものを好んでいるかというデータが鮮明に分かるようになってきています。その結果、データに基づいて、商品を欲しているであろう個人へ直接自社製品を売り込むことができる、ダイレクトマーケティングが主流となり始めました。
ダイレクトマーケティングの手法
ユーザーに直接働きかける宣伝広告と聞くと、メールや電話のイメージが強いかもしれません。しかし、ダイレクトマーケティングの手法は幅広くなっており、ユーザーにさらに直接的に広告を出すことが可能とされています。
それでは、現在企業が一般的に行っているダイレクトマーケティングの手法をそれぞれ詳しく解説していきましょう。
ダイレクトメール
ダイレクトメッセージとも呼ばれている、宣伝広告を直接自宅へ郵送したりポスティングする方法です。印刷物を直接目にすることができるので、デジタル化社会と呼ばれている現在でも有効的でしょう。
郵便物を使ったダイレクトマーケティングは、通販サイトなどが登録された会員情報を利用して、そのユーザーが求めているであろう新商品や限定商品を広告します。
通販商品を購入したことのあるユーザーへ送付するので、ユーザーにとっての需要が高く、マーケティングによって購入者が増えやすくなるというのがメリットです。デメリットとしては、広告の作成費用、郵送にかかる作業負担や送料などのコスト面が高くなりがちという点があげられます。
Eメール
現在一般化している方法は、電子メールを用いたダイレクトマーケティングです。ユーザーの購入履歴などを分析して新着情報やおすすめの商品を宣伝する方法で、通販サイトなどを利用する際に登録したメールアドレスに送ります。
ダイレクトメッセージと行動内容自体は同じように思えますが、電子メールを用いれば作業や送料の負担が減って、郵送で行うダイレクトメールのデメリットを解消することが可能です。さらに、明確にユーザーのニーズに応えられる、メール本文に商品のURLを記載することですぐに購入ページへ進めるというのも大きなメリットになります。
SNS
SNSサービスを利用し、より多くのユーザーに情報発信を行う手法です。企業アカウントを作成して商品宣伝を行いながら、ユーザーとコミュニケーションを取って企業のイメージアップもはかれます。
SNSを利用する大きなメリットは、企業側の発信を見たユーザーが他のユーザーに共有できるという点です。ダイレクトメールなどでは発信したユーザーでとどまっていた情報も、共有によって新たなユーザー獲得へとつながりやすくなっています。
デメリットは、発信するメッセージ内容によっては一部のユーザーから反感を買い、場合によってはいわゆる「炎上」をしてしまう可能性があることです。
電話/FAX
以前までよく行われていたのが、電話やFAXを用いて顧客にセールスを行う方法です。現在も使用されていますが、固定電話の普及率が下がってあまり効率的ではなくなった、営業電話に良くないイメージを持っている人が増えたといった事情から、現代においてはあまり良いダイレクトマーケティング方法とはいえません。
しかし、ユーザーに直接語りかけられる、ユーザーが商品に対して抱く疑問をその場で解決できる、その場で契約の段階まで進められるという非常にメリットも大きい方法です。特に、詳しい説明が必要な保険などの商品には適しているでしょう。
ダイレクトマーケティングのメリット
企業がユーザーに対してダイレクトマーケティングを行うことで、どのようなメリットが発生するのでしょうか。ここでは、ダイレクトマーケティングのメリットについて解説します。
- コスパが良い
- 成果が数値で分かる
- 顧客とコミュニケーションが取れる
企業にとってプラスとなる部分を把握しておけば、工夫によってより大きな効果を発揮することも可能です。ダイレクトマーケティングのそれぞれのメリットを紹介していくので、見ていきましょう。
コスパが良い
ダイレクトマーケティングは、不特定多数に向けたマーケティングよりもコストを安く抑えながら確実な成果が得られる手法です。
誰にでも見えるような場所で行うマスマーケティングは、宣伝力が強くても購買意欲につながらない場合もありますし、継続的なユーザーの確保も難しいでしょう。さらに、どうしても費用が高くなってしまいます。
一方でダイレクトマーケティングは、ユーザーの中からターゲットを絞り込むことで最低限の費用に抑えつつ、的確に売上を伸ばせるというのがメリットです。また、マスマーケティングに比べると人件費や経費が下げられるのもポイントです。
成果が数値で分かる
ダイレクトマーケティングは個々のユーザーに向けて情報発信をするので、そのユーザーの反応を確認することが可能です。
ダイレクトマーケティングによって購入につながっているかだけでなく、その商品に関心を持ってもらえているか、そもそもダイレクトマーケティングに対しての反応はどうかなども数値で具体的に把握できます。
これまでは購入者アンケートなどで購入経路を調査していましたが、ダイレクトマーケティングはどの媒体から購入につながっているのかが把握しやすいので、将来的なマーケティングリサーチにもつなげられるでしょう。
顧客とコミュニケーションが取れる
SNSを利用したダイレクトマーケティングでは、ユーザーと直接コミュニケーションを取れるのも大きなメリットです。
メッセージを通じてユーザーの疑問点を解決したり、商品やサービスを利用したユーザーの生の声を投稿してもらって共有するなど、CMや広告などとは違って双方向でコミュニケーションが取れます。そこから、商品やサービスだけでなく、企業ブランドのイメージアップにもつなげられるでしょう。
実際に、これまで無名だった企業がSNSでのダイレクトマーケティングから認知度が上がったという事例もあるため、現代ではSNSを使ったマーケティングは高い効果が期待できます。
ダイレクトマーケティングのデメリット
ダイレクトマーケティングにはメリットが多くありますが、その反面でデメリットも存在します。メリット・デメリットを理解し、うまく操作すれば、より確実なマーケティングを展開できるようになるでしょう。
ダイレクトマーケティングのデメリットは、主に以下の2つです。
- 軌道に乗るまでの手間が多い
- ターゲットごとに手法を変える必要がある
それぞれのデメリットを解説していくので、マーケティングの参考にしてみてください。
軌道に乗るまでの手間が多い
近年ではEメールやSNSを使ったダイレクトマーケティングが主流となっているため、以前より手間が少なくなりましたが、以前までは見込み顧客に対して1人1人にダイレクトメールを送ったり電話をしたりという手間が大きかったです。
そのため、データを蓄積して分析・改善を行い、見込み顧客に対して1人1人に商品やサービスを売り込むという、軌道に乗るまでの手間や地道な作業が多いマーケティング手法でした。
メールでの一斉送信やSNSでの投稿など、見込み顧客に対して一斉にアピールできる機会が増えた今は、このデメリットは軽減しています。
ターゲットごとに手法を変える必要がある
ダイレクトマーケティングは、顧客に合わせて手法を変えなければ効果は薄いです。もちろん、マスマーケティングでもよりユーザーの注目を集めるための工夫や努力が企業には求められます。
しかし、ダイレクトマーケティングは、より微細な調整をしながら確実に顧客を集める手段を独自に作り上げていかなければいけません。
例えば、お年寄りをメインターゲットにしている企業がSNSでダイレクトマーケティングを行ってもその効果は薄いでしょう。また、他社で成功した手法を真似しても、ターゲットの性別や年齢層、趣味嗜好が変わればその効果は得られません。
ダイレクトマーケティングは、目的とするターゲット層が今求めているものをきちんと把握して企画することが重要です。
効果的なダイレクトマーケティングを行う方法
ダイレクトマーケティングの手法はそれぞれ確立されていますが、その手法を使ってさらに効果的なマーケティングを行うためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、ダイレクトマーケティングを効果的に行うための方法を2つ紹介していきます。
- 過去のデータを分析してターゲティング
- 顧客をカテゴリに分けて管理
ダイレクトマーケティングであまり効果が出ない、ダイレクトマーケティングでより高い効果を得たいという人は、ぜひご覧ください。
過去のデータなどを分析してターゲティング
マーケティングにおいて最も参考にするべきなのは、過去のマーケティングで得られたデータです。
過去にどのようなマーケティングを行ってどのくらいの成果が得られたのかを分析して、他のマーケティングにどのように生かせるか、思うような効果が得られなかった場合にはその際の改善点を洗い出します。
そうして過去のマーケティングから得た分析データを元に、新たなマーケティングの企画立案を行っていくことで、データ数が増えてより洗練されたダイレクトマーケティングが可能です。
顧客をカテゴリに分けて管理
顧客と一言でいっても、それぞれのユーザーが求めている商品やサービスはさまざまです。そこで、顧客データなどを元にそれぞれのユーザーをカテゴリに分けて管理することで、個々のユーザーがどのような商品やサービスを求めているかが分かります。
特に、多様な商品を扱っている企業はこういった需要データが大切です。ユーザーに合った商品やサービスを的確にアピールすることで売上につながりやすくなりますし、新商品をリリースする場合にターゲットユーザーをすぐに見つけられて効率的でしょう。
また、ユーザーたちがどのような商品を求めているかが分かれば、新商品の開発や既存の商品の改善にも役立ちます。
ダイレクトマーケティングの成功例
ダイレクトマーケティングの手法を紹介しましたが、実際にそれで効果は得られるのでしょうか。ここでは、実際に大手企業が行ったダイレクトマーケティングの成功例を5つ紹介していきます。
- Amazon
- ニッセン
- ヤマト運輸
- ネスレ日本株式会社
- SHARP
自社のマーケティング手法に不安がある方、ダイレクトマーケティングが実際に効果があるのか知りたい方は参考にしてみましょう。
Amazon
世界的な大手通販サイトのAmazonは、ダイレクトマーケティングによってその収益を伸ばしています。
主な方法としては、利用者の購入履歴に基づいた「おすすめ商品の表示」です。ユーザーがこれまでに購入した商品の傾向に合わせて似たようなおすすめ商品を表示したり、同じ商品を購入したユーザーが一緒に購入している商品を表示することで合わせ買いを狙います。
ユーザーの趣味や嗜好、購入品に合わせた商品をおすすめしているので ユーザーからの需要も高い傾向です。
ニッセン
ファッション通販企業のニッセンは、購入者に定期的なカタログ送付を行うダイレクトマーケティングを行っています。
ファッションのような日常的に使う消耗品タイプの商品は、一定期間で買い替えたり季節ごとに新たなものを購入したりと回りが早いのが特徴です。そのため、ユーザーが購入を考えている時期にカタログを送付することで購買意欲を高める狙いがあります。
このダイレクトマーケティングによって、ニッセンは根強いリピーターを確保へといたりました。
ヤマト運輸
国内大手の宅配便企業であるヤマト運輸は、SNSを利用したダイレクトマーケティングを成功させています。
メッセージアプリのLINE上で会員情報を連動させ、配達予告や再配達の手続きを手軽に行えるようにしました。利便性を向上させてヤマト運輸という企業ブランドのイメージアップをはかるだけでなく、新たなサービスを提供する際の告知にも役立っています。
また、ヤマト運輸のLINE公式アカウントはユーザーが楽しめるように遊び心も取り入れており、企業への親しみやすさを与えることにも成功している事例といえるでしょう。
ネスレ日本株式会社
世界的な大手食品メーカーであるネスレ日本株式会社は、従来のパッケージ商品ではなく、オフィスに設置するコーヒーサーバー事業を展開する際にダイレクトマーケティングを行いました。
パッケージ商品と違って消費者に直接設置をうながす商品なので高い収益を見込めますが、一方で普及までに時間がかかることがデメリットでした。
そこで、「ネスカフェアンバサダー」というシステムを立ち上げます。ネスカフェアンバサダーに登録した後に送られてくるURLを別の人に送信すると、受信した人は景品がもらえるというシステムです。
また、コーヒーを作るマシンは無償を貸し出してカートリッジだけを定期購入してもらうことで、設置したオフィスを訪れた別企業の人がそれを見て申し込むという方法も確立しています。
SHARP
国内大手電機メーカーのSHARPは、SNSを活用したダイレクトマーケティングを行っています。
最大ユーザーを誇るTwitterで公式アカウントを開設し、消費者との距離感を縮めることに成功しました。一方的に商品を紹介するのではなく、ユーザーの相談や疑問に答えて、公式という安心感と身近で相談しやすいという親しみやすさから高い人気を得ています。
また、流行やユーモアも交えて、公式アカウントでありながらも一般人と変わらない目線で情報発信することで、多くのユーザーを獲得して高い広告効果を得るのに成功しました。SNS上でのダイレクトマーケティングではトップクラスの成功例でしょう。
Eメールやダイレクトメールは法的規制に注意
ダイレクトマーケティングを行う際には、法的規制を遵守しなければいけません。特に、電子メールやダイレクトメールを利用したダイレクトマーケティングの際は、特定商取引法をよく理解して活用しましょう。
送料を含めた販売価格や代金の支払い時期、商品の引き渡し時期、申し込み期限など、購入者が誤解を生まないための表記方法などが細かく設定されています。
また、メールにおいては個人情報の一部として取り扱われていますので、顧客がメールの配信を拒否した際には迅速に対応する必要があります。メール配信の解除ができない・設定が複雑である・解除したのに届き続けるというのは法に触れる行為とみなされることもあるので注意しましょう。
ダイレクトマーケティングについて勉強するならKOBUSHI MARKETING
ダイレクトマーケティングは、現代の企業において欠かせないマーケティング手法です。マスマーケティングのように大多数に広告を出すよりも、個人に向けて商品を売り込む時代になった今、ダイレクトマーケティングはその需要が高まっています。
そんなダイレクトマーケティングの手法を効率よく学びたい方は、KOBUSHI MARKETINGのセミナーをご利用ください。
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