ソーシャルセリングとは|基本情報や活用例、注意ポイントをまとめて解説

従来の営業方法というのは、潜在顧客に対して電話や対面から商談に持ち込むのが一般的でした。

 

しかし、近年ではスマートフォンやタブレットの普及により、ユーザーがインターネットを介して場所や時間を選ばず、いつでもどこでもコミュニケーションをとれるようになっています。

 

そのような流れを受けて、海外ではソーシャルメディアを利用して顧客との接点を増やすことで、営業成果を上げるソーシャルセリングと呼ばれる営業方法が一般的になってきました。

 

日本では聞きなれない言葉で、その事例もまだ少ないソーシャルセリングですが、今後はソーシャルセリングが行う企業が増加していくことが予想されます。そこで今回は、ソーシャルセリングの基本情報や活用例、注意ポイントについて解説していきます。

ソーシャルセリングの基本情報を解説

ソーシャルセリングは日本ではまだ普及されていないため、「名前は聞いたことがあるけどあまり詳しくない」という人も多いでしょう。

 

ここでは、ソーシャルセリングとは何か、ソーシャルメディアマーケティングとの違いなどを解説していきます。これからソーシャルセリングを行っていきたいと思っている方は、ぜひご覧ください。

ソーシャルセリングとは

ソーシャルセリングとは、販売プロセスの一環として顧客との関係を発展させることを指します。

 

FacebookやTwitter、Pinterestなどのソーシャルネットワークを介して行われることが多いですが、本来はオフラインでも可能です。日本ではネットワークビジネスとして周知されているビジネスモデルで、アメリカではメジャーな手法の1つとなっています。

ソーシャルメディアマーケティングとの違い

ソーシャルメディマーケティングは、ソーシャルメディアを活用したマーケティングの総称です。SNSやブログなどを利用してユーザーにブランドや商品・サービスについて広めてもらいます。見込み客に限らず幅広い顧客をターゲットにしているマーケティング施策です。

 

一方でソーシャルセリングの場合は、見込み客をSNS上で自ら探しだして1対1のコミュニケーションをとり、顧客との関係性を築くことで購買意欲を高めて購入につなげるのを目的としています。

不特定多数の人物を対象にしているか見込み顧客のみを対象としているかという点が、ソーシャルメディアマーケティングとの違いです。

 

海外でソーシャルセリングは一般的

先述した通り、海外ではSNSを通じたビジネス上での人探しが日常的に行われており、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアは拡大し続けています。

 

例えば、Facebookは日本国内のユーザー数も伸びているもののTwitterなどに比べると少ない印象です。それでも、全世界では20億人を超えるユーザーを獲得しています。

 

また、同じ企業の同僚や上司、会社の取引先とつながることができる、ビジネスに特化したSNSの「Linkedin」はアメリカで特に利用されている傾向です。アメリカでは、これらをいち早く取り入れて顧客と直接的にコミュニケーションすることで従来よりもスピーディーに関係性を構築し、すでに成果をあげています。

日本ではソーシャルセリングはあまり普及していない

アメリカでは多くの企業がソーシャルメディアを活用してソーシャルセリングを行っているといわれていますが、日本ではあまりメジャーではありません。

 

日本ではこれから導入を検討している企業は多いものの、実施する際の懸念点などからなかなか実現していないのが現状です。先述したLinkedinは全世界の利用者が6億人を超えるほどの規模ですが、日本での利用者は2019年時点で約200万人にとどまっています。

 

Linkedinの利用者数が一向に増えないところを見ると、日本がSNSのビジネス活用に慣れていないのがよく分かるでしょう。

日本でソーシャルセリングが普及しない理由

先ほど説明した通り、日本ではソーシャルセリングがあまり普及していません。実施する際の懸念点などが原因とされていますが、懸念点とは何でしょうか。

 

ここでは、日本でソーシャルセリングが普及しない理由を主に2つ紹介します。

 

  • ビジネスでのSNSの利用が少ない
  • 情報漏洩や炎上を恐れている

 

それぞれの理由について解説していくので、見ていきましょう。

ビジネスでのSNSの利用が少ない

日本は与えられた環境の中でやるべきことをやるというスタンスが根付いており、個人がSNSを利用して見つけてきた有益な情報を、ビジネスとして意見をだし実行することは難しいです。

 

また、日本では企業に勤めている場合、会社対会社のつながりを基本としているため、その枠を越えて個人の力で新たに人脈を広げて販売促進をしようという意識が弱い傾向にあることも、ソーシャルセリングが普及しづらい原因と考えられます。

 

国内企業の体系や評価基準からして組織で動くことを中心としていますし、それを外れた個人的な動きは評価されにくいという制度の影響もしているでしょう。仕事に対しての意識が、自らの一生の仕事というよりは、会社から与えられた役割としてやるべきことをやると考えている人が多いようです。

 

個人ありきのアメリカの企業と会社ありきの日本の企業では、根本的なやり方や考え方が違うため、ソーシャルセリングの活用度合いに差がでています。

情報漏洩や炎上を恐れている

日本の企業は個人アカウントでの発信に対して、「企業情報が漏洩するかもしれない」「不用意な発言をして炎上したら困る」といった懸念を持っていることも多く、そういった点も普及しない理由として考えられます。

 

また、日本の企業ではソーシャルセリングに関する育成がなされていないため、SNSでビジネスに関する情報を発信することに慣れている人が少ないことも理由の1つといえるでしょう。

 

海外ではSNSのトレーニングを企業で行っているケースが多く、自ら積極的に個人アカウントからのコメントやシェアをすることでビジネスチャンスを広げているそうです。

ソーシャルセリングのメリット

ソーシャルセリングを活用すれば、相手が興味を持った時点でのアプローチが可能になり、顧客が持つ悩みや欲しい情報を素早く提供できます。購入までのアドバイザー的役割を果たし、結果的にクロージングまでのリードタイムを縮めることが可能です。

 

ソーシャルセリングを活用している営業担当者は、利用していない営業担当者より営業プロセスにおけるパフォーマンスが高いという統計情報もでています。

 

また、SNSの普及によってより身近なインフルエンサーや親しい人の口コミへの信頼度も向上している傾向にあり、個人の発信の影響力が大きな効果をもたらしています。今までは広告による販促や対面営業が中心になっていましたが、これからはソーシャルセリングを活用した営業方法が主流になる可能性も高いでしょう。

ソーシャルセリングの活用例

ソーシャルセリングの基本情報やメリットを解説しましたが、実際にソーシャルセリングはどのように活用すれば良いのでしょうか。

 

ここでは、ソーシャルセリングの活用例を3つ紹介していきます。

 

  • Facebook
  • Twitter
  • note

 

それぞれの活用例を詳しく解説していくので、ソーシャルセリングの導入を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

Facebook

Facebookは全世界で22億人のユーザーに利用されており、日本でも約2,600万人のユーザーが利用しています。Twitterは10代〜20代の若年層に人気が高いですが、Facebookは40代〜50代の利用者が多いのが特徴です。

 

また、Facebookは個人アカウントが実名制、企業単位でページが持てるなどの特徴があることから、ビジネスとの親和性が高いSNSとして多くの企業に利用されています。

 

Twitter

Twitterは日本ではFacebookよりもユーザー数が多く、約4,500万人のユーザーが利用しています。より気軽に投稿できるため若年層の利用者が多く、ビジネス用途ではBtoCとの親和性が高いといえるでしょう。

 

しかし、Twitterはその利用者数の多さから拡散力に優れているという特徴があり、最近ではBtoBでの活用事例も増えてきました。中小企業がツイートをきっかけに知名度を大きく伸ばした事例も数多くあります。

 

Twitterをビジネスで利用する場合は大きく分けて2つの活用方法があり、1つ目は企業の公式アカウントを使う方法です。小規模のBtoB企業でも、先にあげた話題性のあるツイートによって知名度、認知度が上がり興味を持ってもらえる第一歩になりうる可能性があります。

 

2つ目はBtoB企業のトップや社員が個人のアカウントを使用する方法です。企業情報やサービスについて発信するだけではなく、顧客からの質問に答えるなどの個人間のやりとりがメインになってきます。よりソーシャルセリングに近いやり方なので営業実績につながる可能性も高いですが、個人の実名や顔写真を公開して行うため、より投稿内容に慎重にならなければいけません。

note

noteとはフォローやシェアの機能を持ちながらもブログの形式に近く、長文のコンテンツを掲載できるSNSです。記事を有料販売できる、広告出稿ができない、といった特徴があります。

 

noteは比較的新しいSNSですが、利用者数を急激に伸ばしていて、2020年時点で国内利用者数は4,400万人に達しました。2019年あたりから、さまざまな企業がnoteの公式ページを開設してマーケティングに活用しています。

 

営業担当が直接見込み客とコミュニケーションできるツールとなっており、今後ソーシャルセリングでnoteを活用した事例も増えてくるでしょう。

ソーシャルセリングを行う際のポイント

ここでは、ソーシャルセリングを行っていくときのポイントについて解説します。ソーシャルセリングに興味がある、これからソーシャルセリングを行いたいと思っているという人は、ぜひソーシャルセリングを行う際のポイントを見ていきましょう。

 

  • 目的やコンセプトを明確にする
  • ターゲットを定める
  • 目的やターゲットに合わせたSNSを選ぶ

 

3つのポイントをそれぞれ解説していくので、参考にしてみてください。

目的やコンセプトを明確にする

SNSを活用したソーシャルセリングの戦略を立てる際には、目的やコンセプトを明確にする必要があります。

 

一般的には、まず企業やサービスについての認知度を上げる目的で運用を始めるケースが多いでしょう。SNSで拡散が期待できそうな投稿を増やしてユーザーにシェアしてもらうことで、自社やサービスの認知度を上げるという戦略です。

 

1つ注意しておきたいのは、SNSでは広告や宣伝に関する投稿は敬遠されやすいため、まずは親しみやすさを表現したり、役立つ情報発信に努めたりするコンセプトを考えるようにしましょう。

 

また、多くの企業はソーシャルメディアを利用しているというだけで、顧客が望む情報を提供できていない例もよくあります。これは、目的やコンセプトがきちんと定まっていないことから起きるケースが非常に多く、需要のない情報発信をしているようではソーシャルセリングの効果を実感できないまま、時間ばかり過ぎてしまいます。

ターゲットを定める

目的を明確にしたら、実際に商品やサービスを購入してもらうためにターゲットを定めます。自社の商品やサービスを求めている人はどんな人なのか、性別、年齢、職種、趣味嗜好などを細かく想定していきましょう。

 

ターゲットを明確にすることで、コンセプトを踏まえたアプローチの仕方や運用方法を整理することが可能です。SNSの情報発信にブレがないよう、「どんな相手と」「どのようにコミュニケーションするか」を事前に明確にしておきましょう。

目的やターゲットに合わせたSNSを選ぶ

先ほども触れましたが、Twitterは10代〜20代の若年層に人気が高く、Facebookは40代〜50代の利用者が多い傾向です。このように、SNSによってコンセプトや得意な機能が違うため、利用者属性も大きく変わってきます

 

それぞれのSNSの特徴やすでに活用しているBtoB企業の事例をリサーチした上で、どのSNSをメインチャネルにしていくか考えておきましょう。ターゲットとSNSの利用者層が違うと、思うような効果が得られない可能性があります。

 

それぞれのSNSの特徴なども把握した上で、目的やターゲットに合わせたSNSを選びましょう。

ソーシャルセリングを行う際の注意点

ソーシャルセリングはうまく運用できれば高い効果が発揮できますが、うまく活用できなければ意味はありません。ソーシャルセリングを行う際には、以下の3つの点に注意しましょう。

 

  • すぐに営業活動をしない
  • プロフィールは無駄なく一目で分かるようにする
  • 商品やサービスに関する内容は投稿しない

 

ソーシャルセリングを行う際の注意点について、見ていきましょう。

すぐに営業活動をしない

ここまで解説してきた通り、ソーシャルセリングは顧客との関係性を構築することが目的です。すぐにダイレクトメッセージなどで営業活動をするのではなく、まずは自分自身がどのような価値を提供できるのかを相手に理解してもらいましょう。

 

ソーシャルセリングはすぐに効果が現れるものではありません。営業活動前の準備期間として、顧客との信頼関係を高めていくために注力してください。

プロフィールは無駄なく一目で分かるようにする

SNSでプロフィールがほとんど空白というユーザーや、役に立つ情報がほとんど載っていないユーザーも数多く存在しています。また、ユーザーが気になる情報以外の部分が充実してしまっているケースも少なくありません。

 

ソーシャルセリングでは、ユーザーが自分の疑問や不安を解決してくれる専門家を探している傾向です。プロフィールには、自分の得意分野や専門分野、これなら他の人に負けないというのが一目で理解できるような内容にしておく必要があります。

商品やサービスに関する内容は投稿しない

SNSは本来自分の日常や身の回りで起きたことなど、自分について投稿する場合が多いですが、ソーシャルセリングではそうはいきません。人の関心を集めるためには、見ている人に役立つ情報の提供が必要になります。そのため、自社の商品のアピールだけでは効果が得られないでしょう。

 

また、先ほども触れましたが、SNSでは広告や宣伝に関する投稿は敬遠されやすいです。自社の商品やサービスについてばかり発信していると、宣伝のためのアカウントとして判断されて興味が薄れてしまいます。ターゲットが興味を持ってくれるであろう情報を提供すると、ソーシャルセリングが成功しやすいです。

 

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日本内ではまだまだ聞きなれないソーシャルセリングという言葉ですが、海外では多くの企業担当者が高い成果を得ています。

 

ソーシャルセリングはまだ日本に浸透していない分、積極的に取り入れれば大きなチャンスをつかめる可能性も高いでしょう。しかし、日本にはまだ浸透していない分、具体的にどうやって戦略を立てれば良いのか、ターゲットに対してどうやってアピールしていけば良いのかといった悩みを相談できる場所があまりありません。

 

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