デジタルマーケティングで業務委託するメリットは?準委任との違いも解説


デジタルマーケティングはネットが普及した現代において、多くの企業が行っているマーケティング手法です。ビジネスの基本ともいえる集客、教育、販売がインターネット上だけで完結できるというのは、デジタルマーケティングの大きな魅力でしょう。

しかし、デジタルマーケティングを施策していく中で、自社だけでは人員が足りない、専門的な知識を持つ人間がいないと悩んでいる人も少なくないのではないでしょうか。そこで、本記事ではデジタルマーケティングを業務委託するメリットや準委任と何が違うのかについて解説していきます。

デジタルマーケティングの基本情報

デジタルマーケティングとは、Googleなどの検索エンジン、TwitterやInstagramなどのSNS、Webサイト、スマホアプリなどのさまざまなデジタル技術を活用したマーケティング手法です。さらに、AIを活用した顧客行動のデータ化や分析なども行います。

また、デジタルマーケティングと似た手法としてWebマーケティングがありますが、WebマーケティングはWebサイトを中心に行うマーケティングです。デジタルマーケティングはAIやIoTなどを含めたデジタル技術全般を使用したマーケティング手法のため、後者の方が扱う範囲が広いといえます。

デジタルマーケティングの業務委託で依頼できることは?

デジタルマーケティングの業務委託で依頼できるものは、大まかに分類すると以下の3つです。

  • タスク型:サイトやSNSなどの運用やメルマガの作成
  • ミッション型:メディアの今後の各種施策や改善の実行
  • プロジェクト型:MAツールの新規導入やサイトリニューアル

大企業ではデジタルマーケティングの部門がおかれている企業が増えており、タスク型、ミッション型、プロジェクト型の業務で分担されている場合が多い傾向です。一方、中小企業では一人の担当者が全ての業務を担当していることも少なくありません。

これらの業務に取り組むにあたって、人員が少ない、専門知識を持った人がいないという場合もあるでしょう。その際には、フリーランスのデジタルマーケターへの依頼がおすすめです。デジタルマーケティングの業務委託でも、上記のような業務を依頼できます。人手が足りていない業務を外部に依頼すれば、無駄なく業務がこなせるでしょう。

デジタルマーケティングをフリーランスに外注するメリット

デジタルマーケティングをフリーランスで外注する場合、以下のようなメリットがあります。

  • 経験が豊富な人材が多い
  • 幅広い業務を依頼できる
  • 必要なときだけ依頼できてコスパが良い

それぞれ詳しく紹介していくので、デジタルマーケティングの業務委託を検討している人は、参考にしてみてください。

経験が豊富な人材が多い

フリーランスのデジタルマーケターは、企業で実務経験を積んでいて専門性の高いスキルを持った人材が多く活躍しています。経験者ならではの高い成果が期待できるだけでなく、企画から実行までの全体的な流れを経験しているため、発注側が一から十まで事細かに説明しなくてもスムーズに業務が進みやすいです。

さらに、プロジェクト毎に専門分野の違う人材に委託できるため、それぞれの分野に特化したプロや自社の目的に合った人材に臨機応変に依頼ができます。

幅広い業務を依頼できる

デジタルマーケティングはデジタル技術を活用しながら、目的やターゲットなどに合わせてさまざまな手法でマーケティングを行います。

そのため、新たに知識のない人を教育したり、一から勉強をするのは手間がかかって大変です。フリーランスでデジタルマーケティングを行っている人は知識や経験が豊富なので、幅広い業務に対応してもらえて、教育や研修の手間もかかりません。

必要なときだけ依頼できてコスパが良い

フリーランスとの契約は業務委託契約となるため、社会保険料や福利厚生といった費用の負担がなく、人件費が固定になりません。そのため、必要なときに必要な分だけ業務を委託することで費用も削減できます。

そして、本来なら正社員時代に年収1,000万を超えていたような人材も、業務内容や契約期間を調整すれば月額20~30万円程度に抑えて起用できるのも業務委託の強みです。欲しい人材によって、契約をある程度自由に締結、解除ができるというのは安心材料になるのではないでしょうか。

 

デジタルマーケティングで業務委託する際の契約方法

業務を外注する場合は業務委託契約を結ぶことになりますが、業務委託契約には請負契約と準委任契約があります。ここでは、それぞれの契約方法の特徴、請負契約と準委任契約の違い、よく混同される労働者派遣契約との違いなどを解説します。

それぞれの契約方法の違いを押さえて、自社の目的に合わせた契約方法を選択していきましょう。

請負契約

請負契約は、「仕事の成果物との引き換え」を目的とした契約です。指定された期限の中で成果物を納品することで報酬が発生する仕組みのため、納品にかかった労働時間などは関係ありません。

仕事を委任された側は、委託された仕事を完成させて、成果物を引き渡すのが報酬が支払われる条件です。そして、仮に仕事の完成後に成果物などに欠陥が見つかった場合、請負人はその修補を行う責任を有します。

デジタルマーケティング業務の場合は、Web制作やサイトリニューアルなどの成果物が明確なものを外注する際に、請負契約が適しているといえます。

準委任契約

準委任契約は、仕事の成果物の有無ではなく、遂行する業務自体に対して報酬が支払われる契約です。業務が法律行為であれば「委任契約」、法律行為以外の業務であれば「準委任契約」となります。

仕事を委任された側は業務を遂行すること自体が主体のため、業務を完成させる義務がないというところが請負契約と大きく異なる点です。

デジタルマーケティング業務の場合では、SNSやメルマガの更新、メディアの改善などの明確な成果物がない業務を扱う際は、準委任契約が適しているといえます。

請負契約と準委任契約の違い

請負契約と準委任契約の大きな違いとしては、請負契約が仕事の成果物を目的にしているのに対し、準委任契約は仕事の過程に注目しているという点です。

業務の受注者の義務という観点で見ると、請負契約では「仕事の完成義務」を負うのに対し、準委任契約では「善管注意義務」を負います。ここでいう「善管注意義務」とは、業務を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて、通常期待される注意義務のことです。

仕事の成果物を要求されるのが請負契約、仕事の過程を重要とされるのが準委任契約といえるでしょう。

業務委任契約と労働者派遣契約の違い

業務委任契約と労働者派遣契約の大きな違いは、その目的にあります。

業務委託契約を行う企業は、人材の確保ではなく業務を完遂して納品してもらうのが目的です。一方で、労働者派遣契約は契約を結んだ派遣会社から人材を派遣してもらい、不足している業務の穴埋めのための人材確保を目的としています。

そのため、派遣契約では派遣先の企業に業務に対する責任があるのに対して、業務委託では業務に対する責任は全て業務委託先に任せられることになります。

業務委託で起こる可能性のあるトラブルは?

業務委任で起こる可能性のあるトラブルとして、以下の3点があげられます。

  • 締結すべき契約の種類によるトラブル
  • 報酬の支払いを巡るトラブル
  • 契約の中途解約を巡るトラブル

締結すべき契約の種類によるトラブルというのは、請負契約と準委任契約の性質を理解しないまま契約してしまうことです。

例えば、Webサイトの運営の場合、サイトのリニューアルが目的なら「仕事の完成義務」が目的の請負契約をしなくてはなりません。Webサイトの継続的なデータ収集、改善が目的なら、準委任契約の方が良いでしょう。

報酬の支払いに関しては、明確に「いつまでにどういう条件でいくら支払うか」を定めないとトラブル発生の原因となりやすいです。また、契約中に想定した通りの成果がでない、費用が高いなどの理由で委託を辞めたくなるといった場合にも、解約の際に違約金を求められるなどのトラブルになることがあります。

 

請負契約のメリットデメリット

請負契約を検討している人も多いと思いますが、利用する場合にはメリットとデメリットに注意しなければいけません。

メリット

  • 専門家に委託することで、新たな人材や社内教育への工数・コストを削減できる
  • 管理は業務委託先に一任するため、自社の管理業務にかかる負担も軽減できる

デメリット

  • 業務の遂行に関して指示ができないので、業務委託先に全てを任せる必要がある
  • 成果物の完成が契約した期日に間に合わない場合、損害を受けてしまう

準委任契約との違いやメリットデメリットを理解した上で、自社のデジタルマーケティング手法に合っているかを検討してみましょう。

 

請負契約の注意点

ここでは、請負契約の注意点について説明します。請負契約での業務委託を考えている人は、以下の注意点をチェックしてから契約をしましょう。。

  • 請負契約書は明確に記載する
  • 法律規定に気を付ける
  • 偽装請負にならないようにする
  • 債務不履行の場合の請求内容を定めておく

それぞれの注意点について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

請負契約書は明確に記載する

請負契約書を明確に記載すれば、事前に委託者と受託者の認識の違いがなくなり、トラブル防止につながります。業務内容や遂行方法をはじめ、契約中に起こる可能性のあるトラブルや業務状況なども含めた詳細な内容を記載しましょう。

特にトラブルに関しては、データの扱い方や守秘義務に注意してください。マーケティングを行う上で、自社の情報や顧客情報などを渡さなければいけないこともあります。その際に受託者がデータを紛失してしまったといった事例が起こらないとも限りません。事前にさまざまなトラブルを想定した上で請負契約書を作成しましょう。

法律規定に気を付ける

フリーランスで働く人が増加して、フリーランスに依頼する企業も増えた昨今では、フリーランスに対する不当な扱いやパワハラなども問題視されています。

そういった事例を防ぐための法律が、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」です。資本金1,000万円以上の発注者が請負人に対して「商品やサービスの不当な返品」、「支払い代金の不当な減額」などを行った場合に罰せられます。

業務委託を検討している人は、こういった法律なども確認しておくと安心です。

偽装請負にならないようにする

偽装請負とは、規約上は「請負」でありながら、実態は「労働者派遣」に該当するということです。

企業側としては、労働者派遣として雇うよりも、請負として契約する方が、自社に対する負担が軽くなります。

そのため請負契約をしているが、実態は労働契約のように働かせる状態が発生し、偽装請負という形になってしまいます。

先ほどあげたように、請負契約書の内容を明確に記載するとともに、就業状況や作業現場の実態を調査することが重要です。

例えば請負契約のはずなのに、委託先の企業が請負会社の労働者に指示を出すと、偽装請負と判断されてしまいます。

債務不履行の場合の請求内容を定めておく

請負契約で約束した義務を果たさないことを「債務不履行」といい、主に以下の3種類があります。

履行遅延:債務者が履行できるのにも関わらず期日に遅れる

履行不能:債務者の故意や過失によって債務を履行できなくなる

不完全履行:債務はされたものの契約通りの安全なものではない

このような債務不履行が起きた場合のトラブル防止のために、事前に損害賠償や契約解除について契約書に明記しておくと安心です。しかし、天変地異などのやむを得ない事態が発生した際には、債務不履行は適用されません。

また、自社のオフィスで請負人に業務を行ってもらう場合は、請負契約の場合でも労働者の安全を確保する義務なので、注意しましょう。

 

デジタルマーケティングで業務委託を依頼するときのポイント

それでは最後に、デジタルマーケティングで業務委託を依頼するときのポイントについて解説していきます。業務委託のポイントは以下の3つです。

  • 実績や得意分野を確認する
  • 予算内で依頼できるかチェック
  • 相談の段階で相手の対応を見る

業務委託を行う場合、請負人のスキルや対応によって業務に大きく影響が出ます。しかし、契約してから「思った通りにいかないから契約を解除したい」という事態になっても、契約の解除は難しいです。

3つのポイントをそれぞれ解説していくので、契約前にチェックしておきましょう。

実績や得意分野を確認する

どれだけ実績のある企業や個人に業務委託したとしても、自社のプロジェクトに沿った実績でなければ意味がありません

スムーズに業務を進めるためには、自社の行うデジタルマーケティングの手法や目的などに合った、スキルや経験を持っている人を選ぶようにしましょう。依頼をする前に、どんな分野が得意なのか、その分野でどれくらいの実績をあげたことがあるのかなどを確認してください。

また、人材を探す前に自社のプロジェクトの目的やゴールを明確にするのも大切です。そもそもの目的があやふやでは、どんなスキルを持った人材を探せば良いのかも分かりません。マーケティングでどのような成果を得たいのかを明確にして、求める人物像に合った人材を探しましょう。

予算内で依頼できるかチェック

先ほども触れましたが、業務委託は人材を確保して一から教育するよりもコストがかからないのがメリットです。しかし、実績がある企業や個人に依頼をする場合は、相場の価格より高くなってしまうでしょう。

人材を育てたり正社員で雇用するよりは安いですが、プロジェクトの予算をオーバーしてしまう可能性はあります。スキルや経験も大事ですが、予算内で求めている成果が得られるかも大切です。

費用対効果を考えて人材を探しましょう。また、後から「報酬を変えてくれ」といわれる事態にならないよう、請負契約書には報酬に関しても明確に記載してください。

相談の段階で相手の対応を見る

契約をする段階で「相手とのやりとりがスムーズにいかない」、「報酬に対して難色を示している」といった問題があると、契約が成立した後もトラブルが発生する可能性があるでしょう。

業務委託では業務中の契約解除は難しいので、相手とのやりとりに不安はないか、依頼内容の認識の違いはないか、相手の業務に対する姿勢はどうかなどを相談の段階で確認するようにしてください。

また、請負契約書を規定する際に綿密に連絡をとって、お互いに納得のいく契約にするように心がけましょう。

デジタルマーケティングで業務委託するならKOBUSHI MARKETINGに相談

デジタルマーケティングはフリーランスに外注することで、経験が豊富な人材に依頼できる、幅広い業務を任せられる、必要なときだけ依頼できてコスパが良いなどのメリットがあります。

しかし、フリーランスに業務委託で依頼する場合、以下のようなトラブルが起こる可能性も少なくありません。

  • 締結すべき契約の種類によるトラブル
  • 報酬の支払いを巡るトラブル
  • 契約の中途解約を巡るトラブル

トラブルを回避するためには、請負契約書を明確に記載するのが大切です。詳細な内容を取り決めれば、請負人との認識のすれ違いがなくなり、トラブルのリスクが軽減できるでしょう。

それでも不安な人は、KOBUSHI MARKETINGをご利用ください。KOBUSHI MARKETINGはデジタルマーケティングのセミナーや交流会を開催しており、人脈作りに役立ちます。

また、企業とフリーランスのマッチングも行っているので、業務委託を考えているけどトラブルが怖い、人材を探すノウハウがないという方はぜひ検討してみてください。