6マス・マーケティングとは?やり方と中小企業の成功事例

6マス・マーケティングは、リソースが限られる中小企業が、90日という短期間で「売れる仕組み」を構築するためのフレームワークです。
この記事では、6マス・マーケティングの基本的な考え方から、具体的な6つの構成要素、そして実践的な進め方までを解説します。
BtoB(法人間取引)や店舗ビジネスなど、業種別の成功事例も交えながら、自社の課題解決に繋げる方法を紹介します。

6マス・マーケティングとは?中小企業の売れる仕組みを作る思考法

6マス・マーケティングとは、FunTre株式会社の代表である谷田部敦氏が提唱する、中小企業向けのマーケティングフレームワークです。
顧客との出会いからファンになってもらうまでの一連の流れを「認知」「獲得」「信頼」「フロント商品」「メイン商品」「リピート・紹介」という6つのマスに分解し、マーケティング活動全体を可視化します。

これにより、場当たり的な施策に頼るのではなく、自社のどこに課題(ボトルネック)があるのかを客観的に把握し、効果的な打ち手を体系的に考えられるようになります。

なぜ今、6マス・マーケティングが中小企業に必要なのか

多くの中小企業は、限られた予算や人員の中で日々の業務をこなしながら、マーケティング活動を並行して行う必要があります。
そのため、SNSや広告といった個別の施策が点在しがちで、それらがどう売上に結びついているのかが見えにくくなる課題を抱えています。

6マス・マーケティングは、こうした状況を打開するために有効な思考法です。
従来のマスマーケティングで用いられる4マスが企業視点の戦略であるのに対し、6マスは顧客との出会いからファン化までの流れを可視化します。

自社の活動をフレームワークに当てはめることで、機能していない部分や手薄な箇所が一目瞭然となります。
最も改善効果の高い一点にリソースを集中投下できるため、最小限の労力で成果を最大化することが可能になります。

多くの企業が6マスの仕組みを活用できない理由

6マス・マーケティングの重要性を理解していても、この仕組みをビジネスの現場で実際に活用できている企業は決して多くありません。
その大きな原因は、見込み客に対する初期段階でのアプローチや捉え方にあります。

「買う人」と「買わない人」の二分法による機会損失

多くの企業は、見込み客を「今すぐ買う人」と「買わない人」の2つに分けてしまいがちです。
しかし実際には、「今は買わないが、将来顧客になり得る人」が多数存在しています。
このような準備ができていない層に対していきなりメイン商品を売り込むと、強い拒否反応を招いてしまいます。

まずは売り込みを控え、有益な情報を提供して相手に価値を感じてもらう接触を重ねることが重要です。
焦らずに信頼資産を積み上げてから販売のフェーズに移ることで、最終的な成約率は格段に高まります。

6マス・マーケティングを構成する6つの要素

6マス・マーケティングは、顧客の購買プロセスに沿った6つの要素で構成されます。
これらのマスはそれぞれ独立しているのではなく、相互に連携することで強力な「売れる仕組み」として機能します。
自社のマーケティング活動が、この6つのうちどの部分を担っているのかを整理することが第一歩です。

従来のマーケティングで用いられる4マス(製品、価格、流通、販促)が企業視点の戦略であるのに対し、6マスは顧客視点でのコミュニケーションの流れを重視している点が特徴です。

顧客との出会いを生む「①認知」

「認知」は、まだ自社の商品やサービスを知らない潜在顧客に対して、その存在を知らせるための活動です。
どんなに良い商品を持っていても、知られていなければ売上にはつながりません。
このフェーズでは、ターゲットとする顧客層が普段どのような媒体に触れているかを考慮し、最適な方法でアプローチします。
具体的な施策としては、検索エンジンで上位表示を目指すSEO対策、SNSでの情報発信、Web広告の出稿、業界メディアへのプレスリリース配信などが挙げられます。

デジタルマーケティングの集客手法については「デジタルマーケティングの集客手法」で詳しく紹介しています。

見込み客リストを集める「②獲得」

「獲得」は、自社に興味を持ってくれた見込み客の連絡先(メールアドレスやLINEアカウントなど)を取得し、継続的にコミュニケーションが取れる状態を作る段階です。
ただ情報を発信するだけでは、その場限りで関係が途切れてしまいます。
将来的に顧客となる可能性のある人々のリストを集めることが目的です。

具体的には、Webサイトに資料請求フォームを設置したり、無料セミナーやウェビナーを開催したり、メルマガ登録を促したりする施策が有効です。

購入への不安を取り除く「③信頼」

「信頼」は、獲得した見込み客との関係を深め、購入に対する心理的なハードルを取り除くための重要なステップです。
すぐに商品を売り込むのではなく、相手にとって価値のある情報を提供し続けることで、「この会社なら信頼できる」と感じてもらうことを目指します。
ステップメールでノウハウを提供したり、顧客の成功事例やレビューを紹介したり、SNSを通じて担当者の人柄を発信したりすることで、徐々に信頼関係を構築していきます。

メールマーケティングについては「メールマーケティングのやり方と効果測定のコツ」で詳しく紹介しています。

最初の購入を促す「④フロント商品」

「フロント商品」とは、見込み客が最初に購入する、比較的安価で試しやすい商品やサービスのことです。
高額な商品をいきなり販売するのは難しいため、まずはフロント商品を通じて実際に価値を体験してもらい、満足度を高めることが目的です。
これにより、次のメイン商品の購入へとスムーズにつなげられます。

例えば、お試し価格のトライアルセット、有料の個別相談会、少人数制の体験セミナーなどがフロント商品に該当します。

利益の柱となる「⑤メイン商品」

「メイン商品」は、事業の収益の柱となる、本来販売したい高価格・高利益率の商品やサービスを指します。
フロント商品で自社の価値を実感し、信頼関係が構築された顧客に対して提案することで、成約率を格段に高めることが可能です。
フロント商品で解決できた課題よりも、さらに大きな課題を解決できるような魅力的な提案が求められます。

このメイン商品が売れることで、事業は安定した収益基盤を確保できます。

継続的な関係を築く「⑥リピート・紹介」

「リピート・紹介」は、一度購入してくれた顧客と長期的な関係を築き、再購入や新たな顧客の紹介を促すための活動です。
新規顧客を獲得し続けるよりも、既存顧客に再度購入してもらう方がコストは低く抑えられます。
顧客満足度を高めるアフターフォローや、会員限定の特典を用意するコミュニティ運営、紹介者と被紹介者の両方にメリットがあるキャンペーンなどを実施し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指します。

デジタルマーケティングにおけるCRM(顧客関係管理ツール)については「デジタルマーケティングにおけるCRMの役割と活用法」で詳しく紹介しています。

信頼関係を深めるための接触戦略とポイント

6つのマスの中でも、「③信頼」の構築は最終的な成約を大きく左右する非常に重要なフェーズとなります。
ここでは、見込み客と良好な関係を築き、将来の購入の機会を逃さないための具体的なポイントや接触戦略について解説します。

人間味のあるコミュニケーションを心がける

企業からのメールマガジンやLINE配信は、どうしても事務的で機械的な印象になりがちです。
そこで、担当者の名前や日常の一言を添えるなど、人間味を加えることで見込み客との距離感がぐっと縮まります。
もし実在の人物を前面に出すのが難しい場合は、仮想キャラクターを設定して発信する例も有効です。

無機質な企業からの連絡よりも親近感が生まれやすく、結果として見込み客からの反応率や問い合わせ数の向上につながります。

顧客側のタイミングに合わせた継続的な接触

見込み客が商品を購入するかどうかは、企業側の売りたいタイミングではなく、多くの場合「顧客側のタイミング」で決まります。
そのため、短時間でも定期的に接触を続け、相手の記憶に残り続けることが重要です。
メルマガの開封率などが低くても、すぐに気にする必要はありません。

見込み客が何かの必要性を感じた瞬間に、真っ先に自社を思い出してもらえるポジションを確保し続けることこそが、成約への最大の鍵となります。

【簡単3ステップ】6マス・マーケティングの実践的な進め方

6マス・マーケティングのフレームワークを理解したら、次はいかにして自社のビジネスに落とし込むかが重要です。
難しく考える必要はなく、3つの簡単なステップに沿って進めることで、誰でも実践に移ることができます。
まずは現状を正確に把握し、課題を特定することから始めます。

ステップ1:現状のマーケティング施策を6マスに当てはめる

最初のステップとして、現在自社で実施しているマーケティング施策をすべて洗い出し、6つのマスのどこに該当するかを分類していきます。
例えば、「Instagramでの投稿」は認知、「メルマガ配信」は信頼、「初回限定割引」はフロント商品といった具合です。
この作業を行うことで、自社の活動がどのマスに集中しており、どのマスが手薄になっているのかを客観的に可視化できます。

ステップ2:売上のボトルネックとなっているマスを特定する

次に、ステップ1で作成した図を眺め、全体の流れがスムーズにつながっているかを確認します。
施策が何も行われていない「空白のマス」や、施策は打っているものの成果が出ていない「弱いマス」が、売上向上の妨げとなっているボトルネックです。
例えば、認知は広がっているのに獲得ができていない、あるいは獲得はできているのに信頼構築ができておらず購入に至らない、といった課題を発見します。

ステップ3:ボトルネックを解消するための施策を立案・実行する

ボトルネックを特定したら、そのマスを強化するための具体的な施策を考え、実行に移します。
このとき、一度に多くのことをやろうとするのではなく、最も影響が大きいと判断したボトルネックに絞ってリソースを集中させることが成功の鍵です。

例えば、「獲得」が弱いのであれば、魅力的な無料プレゼントを用意してダウンロードページへ誘導する、といった具体的なアクションプランを立てて実行し、効果を検証します。

【業種別】中小企業の6マス・マーケティング成功事例

6マス・マーケティングは、様々な業種の中小企業で成果を上げています。
ここでは、BtoB、店舗ビジネス、ECサイトという3つの異なる業種での成功事例を紹介し、どのようにフレームワークが活用されたのかを具体的に見ていきます。

BtoB企業の事例:〇〇で問い合わせ数を2倍にした方法

あるソフトウェア開発会社では、Web広告からの資料請求は多いものの、その後の商談につながる割合が低いという課題を抱えていました。
6マスで分析した結果、「信頼」のマスが弱いと特定。
そこで、資料請求者に対して、ツールの活用方法を解説するステップメールや、既存顧客の導入成功事例インタビュー記事を定期的に配信しました。
結果として、見込み客の製品理解度が深まり、問い合わせから商談に至る確率が向上。
最終的に問い合わせ全体の数も2倍に増加しました。

製造業のデジタルマーケティングについては「製造業のデジタルマーケティング成功事例」で詳しく紹介しています。

店舗ビジネスの事例:〇〇でリピート率を50%向上させた施策

地域密着型の飲食店では、新規顧客はクーポンサイトなどを通じて獲得できていたものの、再来店につながらないことが悩みでした。
ボトルネックは「リピート・紹介」にあると判断し、来店時に公式LINEへの登録を促す施策を開始しました。
LINE登録者限定のクーポン配信や、新メニューの先行案内を行うことで顧客との接点を維持し、再来店を促進。
この取り組みにより、リピート率が50%向上し、売上の安定化に成功しました。

ECサイトの事例:〇〇を活用して顧客単価を1.5倍にした戦略

健康食品を販売するECサイトでは、新規顧客の獲得に成功していましたが、購入単価が低く、広告費を回収しきれないという課題がありました。
そこで、「フロント商品」と「メイン商品」の連携を強化。
まずはお試し用の安価なフロント商品を購入してもらい、その後のフォローメールで、より効果を実感できる定期購入コース(メイン商品)を限定特典付きで案内する流れを構築しました。
これによりクロスセルが促進され、顧客単価を1.5倍に引き上げることに成功しました。

大手教育企業に学ぶ6マス・マーケティングの具体例

6マス・マーケティングの考え方は、限られたリソースの中小企業だけでなく、大手企業のビジネスモデルにおいても強力に機能しています。
ここでは、誰もが知る大手通信教育会社の実践例を紹介し、その仕組みを紐解いていきます。

各マスをスムーズにつなぐ戦略展開の例

この企業では、まずテレビ番組やイベントを通じてキャラクターの「認知」を広げます。
次に、イベントでのプレゼント企画などをフックにして連絡先を「獲得」し、毎月のダイレクトメールやおもちゃの同梱によって「信頼関係」を構築します。

その後、1ヶ月のお試し教材という「フロント商品」で手軽な初回購入を促し、定期購読型の通信教育というメイン商品へと移行させます。
最後に兄弟姉妹への拡大や紹介制度によって「リピート・紹介」を促進するという、完璧なサイクルを展開しています。

6マス・マーケティングに関するよくある質問

6マス・マーケティングの導入を検討する際、多くの担当者が抱く疑問を解消するためのリード文をまとめました。
実践にあたって多くの企業が直面しやすい運用面やコスト面の疑問、さらにはBtoBとBtoCの業態による使い分けのポイントなどについて、代表的な質問への回答を通じて詳しく解説します。

マーケティングの専門知識がなくても実践できますか?

はい、実践可能です。
このフレームワークは専門知識がなくても、自社のマーケティング活動を整理し、課題を可視化することから始められます。
まずは現状の施策を6マスに当てはめ、どこが弱いかを把握することから着手できます。

広告などの予算はどのくらい必要になりますか?

必ずしも多額の予算は必要ありません。
SNSやブログ、プレスリリースなど、費用をかけずに始められる施策も多くあります。
まずはボトルネックとなっているマスを特定し、そこに対して最小限のコストで試せる施策から始めることを推奨します。

BtoC(消費者向け)とBtoBでは、マスの埋め方に違いはありますか?

基本的な考え方は同じですが、施策の具体例は異なります。
例えばBtoBでは信頼マスでセミナーや導入事例が有効ですが、BtoCでは口コミやSNSでの交流が重要になるなど、顧客の購買プロセスに合わせた施策選択が必要です。

デジタルマーケティングのメリットについては「デジタルマーケティングのメリットと進め方」で詳しく紹介しています。

まとめ

6マス・マーケティングは、中小企業が自社のマーケティング活動を体系的に整理し、売上のボトルネックを特定するための思考法です。
顧客との出会いからファン化までの一連の流れを6つのマスに分解することで、限られたリソースを最も効果的な一点に集中できます。
まずは自社の現状を6マスに当てはめて、どこに課題があるのかを可視化することから始めてみてください。

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